タイ(バンコク)の国公立中学・高校受験制度を詳しく解説
タイ、特にバンコクでは中学校入学時に受験戦争が始まります。
自分の子供も「行きたい学校がある」というので、1年前から塾へ行き準備してきました。
今回、国立中学受験を通じて様々なことが分かりました。
そこで、タイ(バンコク)の国公立中学・高校受験制度について詳しく解説したいと思います。
タイ国立中学・高校受験特別クラス試験について
タイ国立中学・高校受験の前期試験では、「ギフテッド」「IEP」の試験が行われます。
学校によってはさらに、「音楽科」や「美術科」など特別な学科の試験も行われます。
「ギフテッド」「IEP」共に、英語・数学・理科と3科目の試験が行われます。
試験内容や配点比率は、「ギフテッド」と「IEP」で違いがあります。
「ギフテッド」「IEP」とは?
「ギフテッド」は、理科と数学の配点比率が高くなります。
日本における「理数科」をイメージすると分かりやすいでしょう。
倍率や難易度は、「IEP」よりも高くなることが多いです。
「IEP」はIntensive English Programの略で、英語の配点比率が高くなります。
日本における「英語科」をイメージすると分かりやすいでしょう。
数学や理科の問題はタイ語で出題されるため、英語が得意なだけでは受かりません。
「ギフテッド」「IEP」の難易度
「ギフテッド」「IEP」の倍率は学校によって大きく差があります。
人気の成績上位校では、倍率が5~10倍くらいになります。
よって、一部の成績上位校は、日本の難関私立と変わらないくらい難易度が高いです。
子供が受験した学校では、試験内容はかなり難しかったです。
成績トップの生徒でも得点率が70%に届いていませんでした。
ちなみに合格ラインは得点率45%です。
ただし、「ギフテッド」「IEP」の場合、学区内・学区外・公務員枠の区別がありません。
誰もが公平に試験を受けられます。
学区外の子供は、ここで受かっておかないと後が厳しくなります。
タイ国立中学・高校受験普通科試験について
タイ国立中学・高校受験の後期試験では、「普通科」の試験が行われます。
試験科目は、国語(タイ語)・数学・社会・理科・英語の5科目です。
普通科の受験枠は主に「学区内」「学区外」「公務員枠」の3つに分かれています。
「公務員枠」は、親が警察や国の機関などに勤めていると受験できます。
ある人気校を例に取ると、「学区内」の倍率は1.7倍、「学区外」の倍率は9倍でした。
試験問題の内容は変わらないため、「学区内」受験の方が圧倒的に有利です。
「学区内」「学区外」は日本とタイで大きく異る
「学区内」は該当の学校がある地域の生徒が対象です。
ただし、タイと日本では「学区内」の意味合いが異なります。
タイでは、該当学区にタビアンバーンの住所がある生徒が対象となります。
タビアンバーンは、日本における本籍地のようなイメージです。
タビアンバーンの住所は、持ち家や持ち物件がないと取得できません。
賃貸による居住は対象外です。
多くの生徒はタビアンバーンの住所と、現在住所が異なります。
バンコクに持ち家や持ち物件を購入できる家庭は少ないからです。
「学区内」枠で受験できると、非常に有利になります。
そのため場合によっては、親戚の養子としてタビアンバーンを登録するなど、
あの手この手で住所を取得する現実があります。
タイの受験戦争は大変なのか?
大変です。(競争率が高い人気校の場合)
大抵の親は受験会場まで付いていき、受験中も学校で待機しています。
学校では、お父さん・お母さんが祈っている光景が見られます。
お昼ごはんを一緒に食べて、試験が終われば出迎えます。
本番の試験前には、「プリテスト」と呼ばれる模擬試験が行われます。
実際の学校で、本番と同じように試験を行います。
プリテストは、6年生だけでなく4・5年生も受験できます。
よって、2年以上前から受験準備する家庭も少なくありません。
タイの中学・高校受験に塾は必要か?
必要です。(競争率が高い人気校の場合)
タイの入学試験は、中学・高校の学習内容を先取りした問題が多く出題されます。
例えば中学受験の数学問題では、連立方程式・二次方程式・平方根・数列・確率などが出題されます。
当然、タイの普通の小学校では学習しない範囲です。
よほど自分でインターネット等を使い自主学習していかないと、塾なしでは厳しいです。